『2.5次元の誘惑』69話「天使の次元」感想です。
ヒロインの好きな気持ちを主人公が知ってしまう。
聞かなかったふりをしてぎこちなくなったり、聞き間違えたり、扱いを間違えるとヘイトが向きがち。
美花莉の気持ちも奥村の心も尊重したまま着地して、橋本先生の手腕に脱帽。
これからもずっとついていきます…!
まゆりの真摯な言葉が沁みる
美花莉とリリサの会話を聞いてしまった奥村の様子を見てしまったまゆり先生。
間の悪い状況ではあるが、動揺する奥村にとっては救いだったはず。
「恋愛したことありますか?」と失礼な質問を投げかける奥村に、自分の経験も交えて答えてくれる。
漫画やゲームのように、好感度が一定に達したり、何かのきっかけがあって恋が成就するだけじゃない。
成功か失敗か、0か1じゃなくもっと多種多様な形がある。
今好きじゃないからといって、これから先もずっと同じ気持ちとは限らない。
まゆりの脳裏に浮かぶのは、コスプレ仲間・エリとの会話。
3巻の番外編で、エリがまゆりを好きなのは描写されてましたね。
「愛的に」「恋的に」、そして「性的に」も好き。酔った勢いもあれど、自分の気持ちをごまかさずに伝えたエリにグッとくる。
「今までそういう目で見てなかった」から断るのではなく「今日から見ていく」と答えたまゆりがイケメン。
そりゃエリも顔真っ赤で、さらに惚れ直したのでは。
「誰かを好きになろうとしていく過程も恋と呼んでいい」と語るまゆりが可愛すぎる。
カッコカワイイまゆりに見惚れてしまう。
回想から時間が経ち、まゆりの中にエリへの恋が育っているのだろう。
奥村へのアドバイスに絡めて、まゆりとエリの状況を挿入するのが自然で、思わずうなった。
2人がどうなったかも気になるから、いつか単行本のおまけとかで描いてくれたら嬉しいなあ。
奥村の心が開く
まゆりの言葉を完璧に解釈する奥村はさすが。オタクは国語が得意、分かります。
それでもなお、自身なさげな奥村にかけた言葉も沁みる。
「心はたった1人の中に生まれない 自分以外の誰かがいて初めて生まれるんだ」は名言。
リリエルがアシュフォードを思うように、奥村だってリリサから、美花莉から、ノノアから、アリアからかけがえない存在だと思われている。
過去のトラウマから自分を、女の子を信じられなかった奥村の心が開く。
奥村だけでは答えに辿りつけなかった。
リリサ、美花莉、ノノア、アリア、そしてまゆりがこれまで彼と関わり、思いを向けてくれていたからこそ、気付けた。
まゆりはリリサのコスプレの師であり、奥村を導く師でもある。
コスプレイヤーの先輩として、人生の先輩として生徒たちを導いてくれる。
元々好きだったのに、さらに好感度が爆上がり。合宿の影のMVPはまゆり先生だよ…!
奥村にしか撮れない表情
合宿で「いい」と思った瞬間はあれど、明確な答えが見えなかった奥村。
まゆりとの会話を通して、ようやく辿りついた答え。
どれもヒロインたちが奥村に気持ちを向けていたから。奥村にしか見えない表情をしていたから。
もしその瞬間を、生きた表情を写真に収められたら、奥村は一段と成長できる。
長い長い葛藤の末、ついに答えを掴んだ。あとは撮影で実践するのみ。
魅力的な表情がたくさん描かれそうで楽しみ。
改めてキャラに、人の思いに真摯な作品だと感じ入りました。前回に引き続き、また神回が生まれてしまった…
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[第69話]2.5次元の誘惑 – 橋本悠 | 少年ジャンプ+