『僕ヤバ』42話のインパクトが強すぎて、心を落ち着けたくて筆を取った次第です。
今まで積み上げてきた展開が槍となって市川の、読者の心を突き刺すようなヤバい回でした。
冒頭の少女漫画のキャラが市川とダブる。「冷たくてぶっきらぼうだけど 実はすごく優しくて たまに可愛くて 不器用で」はすべて彼を表しているようなもんですよ。
「そんなやついるわけないだろ!!!」と突っ込んでいたが、目の前にいるんだよなあ。
「もしかして山田は自分のことが好きなのか?」と雑念が湧き出るのも可愛い。というか傍から見るとそうとしか考えられないんだが、違ったときの恥ずかしさを考えると、そうそう確信は持てないはず。
クラスでとびきりの美少女が自分のことを好きだなんて、そんな漫画みたいな展開、普通だったら起こり得ない(起こってます)。
山田が南条先輩(ナンパイ)に仕掛けられた攻撃を、すぐさま市川に仕掛けるのはお家訪問フラグだと思っていたのに。過去の市川回想で痛いところを突かれた読者も少なくないはず。
「だから友達いないんだよ…」と察してしまって辛い。同じような経験をしたことがあるならなおさらウッとなるだろう。
ナンパイの彼女候補の探りをあっさりとかわす山田。いや、あっさり答えていられたのは最初だけで、隣に市川がいる状態で冷静でいられる訳がなかった。
彼女候補の「マ?」って反応も納得。分かりやすすぎる。こんな分かりやすさで気づかないのは市川だけだぞ。
そして、パイセンに市川との関係性を主張するため、山田がぐいぐい攻めたのが仇になってしまった。「僕は利用された」のサブタイトル回収。
気にくわない相手とはいえ「ナンパイのあんな顔見たくなかった」と市川の優しさが垣間見える。恋敵にここまで優しさを発揮できる子、今日日なかなかいないですよ。
「二人過ごした時間が、京太郎の心を切り裂いていく」の煽り文がまさにその通りで。
今までの展開が裏返って、市川の心に深い闇を落とす。一度ネガティブになってしまうと、なかなか戻せないもの。不幸なことに、相談できるほど親密な友人が市川にいないのも辛い。
姉とは実際仲良いんだろうけど、恋愛相談ができるような姉弟ではなさそうだし。もし相談したらワクワクして聞いてくれるような気はするが、相談する姿がまったく想像できない。
どうしてこうなった…
冒頭の雑念すらフリだった訳なんですよね。今までの時間がプラスに働くのかと思いきや、かなりマイナスに振れてきた。
市川の自己肯定感が低くなければ、雑念が確信に変わっていたかもしれないのに。
自己肯定感の低さは市川側の問題だから、山田がいくら攻めても向上するかどうか分からない。今のままだと直接想いを告げたとしても信じるのかどうか。信じない可能性のほうが高いのでは。
43話が通常より早く1週間後に公開されるのだけが救い。いつも身悶えながら次の話を待つのに、まさか心がかき乱されたまま「更新はよ!」とせがむとは思わなんだ。
しかし「桜井のりお先生なら…桜井のりお先生ならきっと何とかしてくれる」と謎の信頼がある。落ちるところまで落ちたらあとは上がるしかない。(本当か?)
桜井のりお先生のTwitterで発表された単行本未収録エピソードの一部や設定資料、さらに超豪華作家陣による“僕ヤバ”アンソロジーコミックまで凝縮された小冊子「僕らの心のヤバイやつ」が同梱!!
学園カースト頂点の美少女・山田杏奈と、重度の中二病の陰キャ・市川京太郎。接するはずのなかった2つの世界の間にほのかに芽生えた恋心は、2人の日常をゆっくり包み込み、新しい世界に彩っていく。教室、図書室、そして…家。かけがえのない時間が増えていく中、大きな転機が訪れる――?
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僕の心のヤバイやつ | マンガクロス
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